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その先へ 58【最終話】

足を運んで下さり、いつもありがとうございます。今回『その先へ』は、最終話となりますが、大変長いお話となっております。貴重な時間を頂戴してしまうことになりますが、最後までお付き合い願えれば幸いです。





『神島コーポレーションは、蓮見田カンパニーを買収する方向で取締役を派遣し、経営陣を一新して再建を進める方針である事を──────』

テレビのスイッチを切り、アナウンサーの声を遮断する。
流れていたのは、今日、世間に公表されたもので、朝から今の夕方に至るまで、どの番組でもトップニュースとして扱われていた。

これで少しは、ほんの僅かな胸の重石を取り除けた。けど、その肝心なアイツが捕まらねぇ。
仕方ねぇ、と諦め、取り出したスマホのアドレスから別の名前を引っ張り出しタップする。
耳に宛てれば、スリーコールで直ぐに繋がった。

『もしもし。道明寺さん、こんにちは』

「おぅ、進。牧野どうしてる? 午前中から電話してんのに、ことごとく無視されラインは既読スルーだ」

『すみません。本当に手の掛かる姉で』

苦笑含みの進の謝罪を訊いて、思った通りだと軽く息を吐き出す。

「おまえが俺の所に来たのを知って、混乱して俺を避けてんだろ?」

『だと思います』

「やっぱりか。おまえは殴られなかったか?」

『二、三発は覚悟してたんですけどね』

この言い方じゃ無事だったか、と結論付けるには早かった。

『殴られない代わりに、家の中にある有りとあらゆるものが、俺に向かって飛んで来ました。うちの姉、無駄に運動神経良いんですよ。コントロールも巧くて、ほぼほぼ俺に命中です。仕方ないので暫くは大人しく的になっていました』

…………それはまた悲惨な。

「…………悪かったな」

『いえいえ、大丈夫ですよ』

進には悪りぃが、我慢して怒りを呑み込むよりかはマシだ。

『それより、ニュース見ました。蓮見田の買収、これだったんですね。道明寺さんのやらなきゃならないことって』

牧野が裁判で戦うにしても戦わないにしても、恐らく、牧野の中に渦巻いていた思いは、巻き込んでしまうことになる蓮見田の社員達の今後だ。
牧野が裁判へと突き進めば、それが決定打となり蓮見田は一気に破綻の道を辿る。それだけ不安定な経営状況であることは、蓮見田の調査書を隈無く見れば明らかだった。
喩え、戦わないにしてもだ。
牧野のことだ。蓮見田親子の行き場を奪ったのは自分だ。蓮見田カンパニーの寿命を早めたかもしれない、犠牲になるのは社員達だと、自分のしたことの正義に胸を痛めてるに違いねぇ。
いや、端からそんな痛みも抱える覚悟で、牧野は正義を貫き通した。全ては俺の為に……。
極めつけは、蓮見田の父親が倒れたことだ。あんな冷酷な男までにも責任を感じるような女だ。
だからこそ、アイツの心痛の一つでも、取り除けられるもんは取り除いてやりたかった。
優しい女が抱えるには、重すぎる。尤も、優しすぎるからこそ、無駄に抱えちまってんだろうが……。

「俺がやるつもりが、結局は、神島の親父さんが手を貸してくれた。ともかく牧野が胸を痛めてる一欠片は取り除いた。あとは、どういう選択が自分に一番負担がねぇか、良く考えて決めろって伝えてくれ」

『道明寺さん……ありがとうございます』

「それと進、牧野と会えるように力貸してくれるか?」

『それなら今度の土曜日、姉を映画に誘ってるんです。その日なら映画館の前で姉を捕獲出来ますよ』

「土曜日だな。分かった。助かる」

弾んだ声の進から、場所と時間を教えてもらって、礼を最後に電話を切った。

フーっ、と長い溜息を吐く。
遣るべき最低限のことは片付けた。
本当なら蓮見田の会社なんて、跡形もなくぶっ潰してぇとこだが、その気持ちを封印して蓮見田を買収することに決めたのは、牧野と二人で話したあのホテルの一室で、散々暴れ倒した翌朝だった。
午前中から書類を読み漁り、必要なもの全てを頭に叩き込んで、そして、進が全てを俺に伝えに来てくれた後すぐ、俺はババァに連絡を取り、蓮見田買収への意向を伝えた。
道明寺にとっちゃ、何の旨味もねぇ買収だ。
完全に公私混同の、それを悟られねぇように取締役会で強引に捩じ込む算段。とは言え、捩じ込むにも限度がある。ある一定数の蓮見田側のリストラは避けらんねぇ。
そこで、買収の賛同を得ると共に、リストラになる社員達を受け入れて貰えねぇか打診するために、ババァに神島会長との会談のセッティングをも頼んだ。
ババァは、何も口を挟んじゃこなかった。
分かりました、と同意し、翌日には神島との会談も取り持ってくれた。
ババァが日本にいることが幸いし、夜の遅い時間帯に早速行われた密談は、俺とババァに神島会長。それと、全てを知ってるあきらも、リストラとなる社員を引き受けてくれることになり同席した。

『一体、何があったのかね? 道明寺ホールディングスにメリットがあるとは思えんが』

買収する旨と、リストラ対象者の受け入れ要請をした後で、神島会長は落ち着いた口調で確認してきた。

『完全な私の公私混同です』

俺は誤魔化すことなく答えた。

『公私混同…………だとすれば、つくしちゃんが絡んでる。違うかね?』

神島会長はババァと懇意の仲だ。見合いにも噛んでるし、何より牧野とも親しい。
牧野と直結させんのも、神島会長なら何ら難しいことじゃなかったんだろう。

『蓮見田が牧野を追いみ、牧野はそれを封じました。それによる影響を最小限に抑えたい。牧野の負担を少しでも減らしてやりたいんです』

『つくしちゃんの為なんだね?』

俺は強く頷いた。

『つくしちゃんを苦しめたのは、蓮見田社長かい?』

『元凶は息子、利用して脅迫したのが父親です』

神島会長の表情が険しくなり、俺達一人一人を見回す。
それは、牧野の身に何があったんだと探っているようで、俺達は目を伏せ口を重くするしかなかった。
幾ら神島会長だとは言え、無闇に口にするわけにはいかねぇ。

『よっぽどの事があったようだね』

思案するように続いた沈黙の後、神島会長が漸く口を開いた。

『司くん。買収したとして、つくしちゃんはそれで幸せになれるのかね』

『いいえ、それだけでは無理です。それ以前に、アイツは幸せになることを放棄してますから。だから分からせてやりますよ。幸せになる道は途絶えてなんかいないんだと、俺の生涯をかけて、アイツには絶対に分からせる』

神島会長は見極めるような眼差しを俺に突き刺し、やがて、鷹揚に頷き笑みを見せた。

『よし、良いだろう。つくしちゃんは、私達夫婦にとっては孫も同じだ。つくちゃんのことは、司くん? 任せたよ?』

『はい』

『但し、蓮見田は私が引き受けよう。うちが買収する』

予想もしていなかった方向からの発言に、俺達は驚きを隠せなかった。

『君達の様子を見れば分かる。よっぽどの傷をつくしゃんが負わされたんだろうとね。それを踏まえれば、恨むべき相手を司くんが引き受けるのは、精神的に良いとは思えない。つくしちゃんにとってもね。
それに、うちは蓮見田とも得意分野が重なってることも多い。メリットを生み出せる可能性が道明寺よりもある。何より、甥の力を試すチャンスだ。上手く行けば甥の力をアピールすることも出来る』

神島会長には子供がいない。現社長は、神島会長の奥さん側の甥だ。だが、敢えて甥を理由の一つに挙げたのは、牧野に必要以上に負担を与えないため。その為に付け加えた、優しい口実に思えてならなかった。

こうして話は一気に加速し、今日やっと公表するまでに漕ぎ着けた。
蓮見田守にしてみりゃ、渡りに船の申し出だったろう。父親は病に臥せ、自分の力だけではもうどうにもならねぇ、と苦心してるところでの買収話だ。
神島とは、友好的買収としてスムーズに話は纏まっていった。
ただの一人もリストラを出さなかった神島会長は、蓮見田守に対しても役職は解くが会社には残留するよう告げた。
それだけじゃねぇ。過去の過ちを反省し苦労を味わえと、僻地に飛ばすつもりでいるとも言ったらしい。
蓮見田守は反論もせず即答で『どんな重い職務でも全うします』そう答えたそうだ。
でも、牧野が裁判を目指せば話は別だ。
蓮見田守は塀の中に放り込まれる。執行猶予を取るのも難しいほどの罪だ。
この罪は非親告罪で、牧野が告訴しなくても公訴提起は出来る。しかし、事件そのものを警察が掴んでいない以上、牧野が警察に駆け込まねぇ限り裁判沙汰にはならねぇだろう。
そして牧野はきっと…………戦わない。
蓮見田の社員が守られたにしても、蓮見田守には、妻がいる。昨年、産まれたばかりの娘がいる。
自分の苦しみや痛みは我慢出来ても、他人の苦しみには堪えらんねぇ。そんな女だ、牧野は。
きっとアイツん中の戦いは、蓮見田と対峙した時に完結しちまってる。
弁護士の肩書きを持つ自分の判断は、これで正しいのかと悩みながらも、思いの秤は一方に片寄ってるに違いねぇ。誰かを巻き込むくらいの戦いなら、もう収めるべきだと……。
そんな不器用で頑固で、そしてどこまでも優しい、堪らなく愛しい女に想いを馳せた。





***



「あんた、まさかまた裏切ったの?」

キッと睨み付けた相手の進は、両手を上げた降参ポーズで後退る。

「裏切った言うなよ。俺が進に頼んだんだ。誰かさんが逃げまくるせいでよ」

進に誘われ観た映画も終わり外に出ると、そこには会いたくなかった道明寺がいた。

…………何で居るのよ。もう関わらないでよ! どんな顔すれば良いのかも分からないじゃない!

必死で心の中で絶叫する。
誰かさんである自分を見てるだろう道明寺と、目を合わすことも出来ない。
それもこれも全部、進のせいだ。
私の代理人として、翌日すぐに蓮見田と面会して来た進は、蓮見田守が全面的に罪を認めたことや、自首をして刑を軽くする行為には出ないこと。私の思うように動いて欲しい、全てを受け入れ謝罪したい、そう言っていたと教えてくれた。
それと、蓮見田社長が倒れたことも。
社会復帰は望めない体になってしまったことに、私が追い込んでしまったからじゃないかと芽生える罪悪感。
そんな私に追い討ちをかけるように、進は爆弾を投下した。
私の想いの全てを道明寺に打ち明けて来たと……。その告白に絶句した。
進だから、何でも話して来たのに。そんなこと伝えたら、道明寺が苦しむだけなのに。そんな姿だけは見たくないって、全部を知ってる進なら分かるでしょ? と、癇癪を起こした子供のように、泣きながら色んなものを投げつけて……。
その和解とばかりに、映画に誘われた今日。まさか、またしても道明寺と連絡を取っていたとは……。
全身に行き渡る怒りを眼差しに込めて、進を再び見る。

「姉ちゃん、怖いって。その顔」

全部、私を想っての行動だってことは、私にだって分かる。でも、それじゃ道明寺は幸せになんてなれない。私を守ろうとして道明寺が犠牲になってしまう。

「んな、カリカリすんな。話があるから行くぞ」

「この前、話したでしょ。私には話すことなんてもう何もない」

チラッと一瞬だけ窺った顔からは、最後に見た、傷付いて苦しんで泣きそうだった弱さを見つけることは出来なかった。

「話だ? あれは言い逃げっつーんだよ。一方的に喋るだけ喋って逃げやがって。今度は俺の番だ。っとに、往生際の悪りぃ女だな、おまえは」

「無駄な時間消費するだけよ」

「進、ありがとな。姉ちゃん借りてくぞ」

「はい、どうぞどうぞ」

私の意思を無視して話す二人に怒りは最高潮となった。

「進、あんたいい加減にしなさいよ。あんたを代理人にしたのが間違いだった。依頼人の意思を無視するなんて、弁護士としてどうなのよ!」

「姉ちゃんこそ、自分が一番正しいとでも思ってるわけ? 神にでもなったつもり? 人の話に耳も傾けないエゴの塊なら、弁護士なんて辞めちゃえよ」

「ッ!」

まさかの反撃に言葉を詰まらせ、油断していた私の手が道明寺に掴まれる。

「ちゃんと話を訊くべきだよ。姉ちゃん、行ってらっしゃい」

辛辣な言葉で刺し、そして、最後に進は優しく笑った。



引き摺られるように乗せられた車の中。
どこへ向かっているのかも分からないまま、隣に座る道明寺とは逆を向き、口を閉ざして流れる景色を眺めていた。

「進、逞しくなったな。昔は泥棒が入ってビビってたのによ」

ずっと無言を貫くのは、流石に大人気なく感じて重たい口を動かす。

「生意気になったのは、間違いないと思うけど……」

フッ、と笑った道明寺は、口を開いたのを良いことに「牧野? この一ヶ月どうしてた?」会話を繋げようとする。

「ボランティアしてた」

「ボランティア?」

「私と同じような境遇の女性対象に、無償で相談に乗ってた」

「…………そうか」

丁度良良い。この話の流れになったのなら、これに絡ませ理解して貰えば良い。

「道明寺、知らないでしょ? 被害者女性は、『泣き寝入り』って言葉にすら悔し涙を流すこともあるの。好きで泣き寝入りするわけじゃないのにって。何てことない言葉一つで心に傷を負うこともある」

「…………」

「だから恋愛だって上手くいかないことも多い。思う相手にすら不安が付き纏ったりもする。簡単に恋愛だって出来ないの」

だから、私のことは諦めて、と言外に匂わせたのに、

「不安にさせる男なんて無惨に捨ててやれ。そんな男相手なら恋愛なんてしねぇ方がマシだ」

俺は違うとでも言うように、逆に言外に含んできてバッサリ突き返された。

「着いた。降りるぞ」

失敗に終わり溜息を吐く私が降ろされたのは、懐かしい場所。春休みで生徒の姿も見当たらない英徳だった。


「どこ行くの? 非常階段?」

校内に入り階段を上る道明寺が足を止め、後ろを付いて歩く私をジロリと睨み見下ろす。

「なんで、おまえと類の思い出の場所なんか行かなきゃなんねぇんだよ」

面白くなさそうに不貞た顔を見せた道明寺は、また背を向け階段を上って行く。仕方なく後に続き着いた先は、屋上だった。

「…………何でここに?」

「別に、どこでも良かったんだけどよ。天気も良いし、外に出てぇ気分だったんだよ。近場で誰もいねぇ空気の吸えるとこって考えたら、ここしか思い浮かばなかった。
最近は息が詰まってたからな。誰かさんがお節介ヤローに頼むから、昼夜問わずに飯持ってあきらが顔出しやがる。西田の分も持ってくるほどの世話好きだ。何が悲しくてヤロー三人顔付き合わせてメシ喰わなきゃなんねぇんだよ」

良かった。進からは訊いていたけど、美作さんが今もちゃんと傍に居てくれて、食事の心配までしてくれていることにホッとする。

「示談にしたんだな」

柵に両腕を乗せた道明寺は、遠くを見つめながら唐突に話の舵を切った。

「うん。……私のためだよね? それで、蓮見田カンパニーの社員、守ってくれたんでしょう? ありがとう…………迷惑かけてごめんなさい」

心配していた蓮見田の社員の人達は、買収という形で守られた。そのことには感謝している。でも私が居ることで、こうして気を遣わせ迷惑を掛けてしまう。

「迷惑なら初めから動かねぇよ。そうしたいからしたまでだ。ババァもあきらも、それから神島のオヤジさんもだ。神島のオヤジさんは、詳細は知らねぇけどな」

「…………」

「家族を幸せにしろ、自分も幸せになれ。金銭的要求もせず受け入れも拒否。気持ちがあるなら、通ってた教会に寄付しろって、全く牧野らしい示談内容だな」

蓮見田の買収を知り、直ぐに示談に応じた。
弁護士としては、法に訴えるべきだったかもしれない。でも、もう充分だと思えた。
幸せであれば悪には手を染めにくい。幸せな家族が傍にいることで抑止力にもなる。そう信じたい。

「牧野、これで一区切りにしねぇか?」

遠くを見つめていた道明寺は向きを変え、柵に寄りかかりながら私を見る。

「これから先は、前を見て歩かねぇか。俺と一緒に」

「それは出来ない」

間髪入れずに返す。

「分かんねぇなぁ。お互い想い合ってんのに、何で離れる必要がある?」

進に事細かく話されてしまっていては、自分の気持ちを咄嗟に誤魔化せるだけの口実が見つからなくて、道明寺が傷付くと知りながらの台詞をわざと投げ付けた。

「…………あんたが道明寺司だからよ」

道明寺の顔が険しくなる。分かっていたけど、事実だからしょうがない。
普通とは違う。道明寺司だからこそ、色んな話題が付いて回る。私のせいで誹謗中傷だって受けかねない。
その矢面に立たされるのは道明寺だ。

「あんたは世間から注目される立場ある人間なの。それを引き立て寄り添ってくれる相応しい人が必ず見つかる。そういう人となら、絶対に道明寺は幸せになれる」

「その相応しい相手こそ、おまえだ」

感情が高ぶり声も跳ね上がる。

「そんなわけあるはずないじゃない! だってあたしは穢れ、」
「それ以上言ってみろよ。本気で怒るぞ」

穢れてる……そう続けようとした言葉は邪魔され、目を見た途端に口を噤むしかなかった。
本気だ。本気で怒らせた。怒るぞと言いながら、既に道明寺の双眸は怒りの色を存分に含んでいる。

「なぁ? おまえが量んのか、俺の幸せを」

「…………」

「おまえに分かるか? 勝手に線引きされる男の気持ちが。一方的に見限られ残るのは、悔しさや悲しみだけだ。喩え、俺を思ってのことだとしてもな。俺にそれを一生背負わせてぇか?」

「…………」

「いいか? 牧野の自己犠牲の上に成り立つ愛情なんて、俺は要らねぇからな! そんな傍迷惑なもん捨てちまえ!」

道明寺の怒声が響き渡りに、地面に視線を落とす。
道明寺は全力で落としにかかろうとしている。それが分かるだけに怖い。

「牧野、間違うな。おまえを理由に俺は不幸になんてならねぇ、絶対に。おまえを理由に幸せにはなってもな!…………牧野、俺はな、」

言葉を途切らせ、道明寺が声のトーンを落ち着かせた。

「過去なんて忘れちまえなんて、無責任に言ってやれねぇ。それほど深い傷だって分かってる。でもな、生きてて良かったって、自分の人生捨てたもんじゃねぇって思えるくらいには、ぜってぇ俺が幸せにしてやる。本当かどうか、おまえ自身が確認しろ。未来で答え合わせすりゃいい」

必死の説得に心が揺れる。でも、負けるわけにはいかなかった。道明寺は何も分かっていないのだから。

「そんな風に言えるのは、私をまだ手に入れていないからよ。付き合えるはずないじゃない。付き合ったとしても、いずれ絶対苦痛に感じる」

そして、やがて捨てられる。そんな道を辿った被害者女性を、私は何人も見てきた。

「どういう意味だ」

「怖くて性交渉が出来ないかもしれないってこと。…………私にはあの悪夢のような経験しかない。
男性と女性とでは体の仕組みも違う。いずれ他の女性を求めたくなるはず。それが普通だとも思う」

…………そんなの堪えられない。と、心で続けた私に、真っ直ぐと向けられていたはずの視線が外された。
当然だ。ずっと待てと言うのが酷な話だ。
これで分かったでしょ? そう思った矢先、

「1.5」

目を反らしたままの道明寺は、謎の数字を口にした。

「…………え?……なに?」

「これは言いたくねぇし、牧野に訊かせたくねぇけど」

そう前置きを置いた道明寺は、自棄になったように後頭部を掻く。

「…………1.5、俺の経験の数だ。人数じゃねぇぞ。回数だ」

開き直った道明寺が言わんとすることは分かるけど、聞かずにはいられなかった。

「……点5って、なに……その0.5は?」

「気持ち悪くて途中で放棄。だから1.5」

「え…………嘘……」

「嘘じゃねぇ。あんまりにも女に興味持てねぇから試してみたけど、やっぱり俺には無理だった。1.5回とも気持ち悪くて吐いた。それが二十歳(はたち)ん時だ。それ以来やってねぇ」

道明寺は31だ。なのに、二十歳からずっと?
驚愕で自分の目が見開くのが分かる。

「俺だって、惚れた女の牧野なら欲しい。でもな、気持ちが追い付かねぇなら、何年だって何十年だって俺は待つ。時間かけて一緒に乗り越えて行けばいい。
普通がどうとか、他の男がどうしたとか言うなよ? 俺には当てはまんねぇからな。実際、こうして遊んでねぇんだからよ。俺は浮気して、おまえを泣かせるような真似は絶対にしねぇ。俺が何より欲しいのは牧野の心だ」

道明寺の驚きの過去を突き付けられて、返す言葉も見つけられずに、気持ちだけがガタガタと揺さぶられて行く。

「おまえが色々悩むのも分かる。でもな、勇気を出せ。確かに、あの一時。おまえは人権を奪われた。けどな、幸せになる権利までは奪われちゃいねぇんだよ。幸せになることを諦めんな」

「…………」

「牧野が俺のことを受け入れれば、今より絶対おまえは幸せになれる」

どうしてそんなこと言えるのよ! 目に気持ちを乗せ見上げた道明寺は、子供のように笑った。

「牧野が居れば俺は笑っていられる。牧野が居れば俺は幸せになれる。惚れた男のそんな顔見れたら、おまえだって嬉しいだろ? 今より当然幸せなはずだ」

得意気な笑顔が眩しくて、だからこそ苦しませたくなくて……。

「跡取りの問題だってある。社長にだって申し訳ない」

「俺のバースデーカード、ババァから預かってくれたろ? あれな……、道明寺家の人間なら、欲しいものは自分の努力で掴み取りなさい。私は司さんの幸せを支持します、だってよ。それだけじゃねぇぞ。あれからババァの奴、何度も俺に電話してくんだよ。変わったことはねぇかって。今までそんなことなかったのによ、牧野が気になって仕方ねぇらしい。今日会うって伝えてあるから、今頃ソワソワしてんじゃねぇ?」

社長の想いに込み上げてくるのを感じて、必死に悪足掻きをして抑え込む。

「心ない人達がいるかもしれない。その度に道明寺は守ってくれるだろうけど、いつか疲弊する」

「バーカ! 甘えんな」

「ッ!」

「そん時は、おまえも戦うんだよ。俺と一緒に。そもそもおまえ、大人しく守られてる女じゃねぇだろが」

意表を衝いた返しに言葉を失う。思ってもみなかった返答に戸惑うしかない。

「俺が辛そうな時は、おまえが全力で守れ。おまえが辛そう時は、俺が絶対に守ってやる。そうやって、二人で支えあっていくんだ。だからな、牧野?」

「…………」

「一緒に過去に挑もうぜ!」

「…………挑む?……」

「あぁ。どんな苦しい過去があっても、俺達は、そんなものに負けねぇで幸せになれんだよって、それを未来で証明しようぜ? 心ねぇ奴らがいたら、迷わずそん時は戦え。俺が一緒に戦ってやる。おまえ戦うの得意だろ?」

道明寺が一歩近付き距離を縮める。

「出来るだろ? おまえ、雑草のつくしだもんな! 今までだって一人で戦って来たんだ。二人ならもっと強くなれる。任せとけ! 戦うのは俺も得意だ。しかも俺は強い!」

氷のように固めたはずの覚悟は、まるで灼熱の太陽に溶かされるように、力をなくしていく。
溶けて溢れる感情は雫となり、やがて下瞼を乗り越え重力に負け、コンクリートに染みを作った。
それを悟られたくなくて俯いた私は、自分に問い掛ける。
築き上げた覚悟を壊しても良いのかと。もう我慢しなくて良いのかと。
そんな私の脳裏に浮かんだのは、『自分が一番正しいとでも思ってるわけ?』辛辣な言葉と、優しく笑った進の顔で、それが私の背中を押す。


「…………なにが強いよ」

「んだよ、最強に強ぇだろ、俺は」

「進の前で泣いたくせに」

「なっ…………! 進のヤロー…………」

「進がなに言ったか知らないけどね、あの頃のような気持ちはないって、何度も言ってるじゃない」

もう、溢れ出る感情に抗う気持ちは消え失せて、だから……、

「っとに、おまえは素直じゃねぇ」

「あの頃の気持ちなんてあるわけないじゃない! あの頃とは比べものにならないくらい、あんたが好き!」

有らん限りの声で叫んだ。

「どうしてそう頑な…………あ?…………牧野……今、なんて?」





聞き間違えじゃねぇよな?

「牧野?」

俯いて動かねぇ牧野の足元には、臨界点を超えたらしい涙が零れ落ちていた。

「牧野、触れてもいいか? 抱き締めても大丈夫か?」

確かめるように訊ねれば、牧野は、体当たりするように胸に飛び込んで来て、俺は柔らかく包み込んだ。

「…………もう降参…………道明寺、しつこいんだもん……もう嘘つけないじゃない」

「嘘なんてつく必要ねぇ。自分の気持ち誤魔化すほど無駄なこともねぇだろ」

「…………負けたくない」

嗚咽に抵抗するように、牧野がはっきり言う。

「だから、 あたしの抱えてるもの……一緒に背負って貰ってもいい?……一緒に挑みたい」

「当たりめぇだろうが。その代わり覚悟しとけよ? おまえにも背負わせるかんな、俺の愛情を。しっかり受け止めろよ?」

牧野は、もう限界だったのか、激しさを増して泣きじゃくる。
そんな牧野を強く抱き締めても良いのか、探るように少しずつ力を込める俺に、

「イヤじゃないよ…………道明寺なら……怖くないよ」

途切れ途切れに伝え、俺は二度と離さないように強く抱き締めた。

「大切にしてくれたのに…………守れなくて、ごめんね」

過去の傷を謝ってんなら、そんなもん意味ねぇ。

「大切なものならここにある。俺の腕の中におまえがいる。それ以上に大切なもんなんてねぇよ」

それから牧野は、喉が枯れるまでに泣いた。今まで一人で抱えて来たもんを吐き出させるように、気が済むまで泣かせた。
牧野の慟哭だけが響き渡り、それでも確かに俺は訊いた。
「道明寺、愛してる」と。
しゃくり上げる中で漏らされる小さな声を、俺は強く強く胸に刻み付けた。












────────あれから二年。悪夢の時も時効を迎えた。



澄み渡る青空に浮かぶ太陽が眩しい光を放ち、新緑は風に揺れる、そんな休日。

教会の大階段の下には、互いの家族を始めとする支えてくれた多くの人達が、フラワーシャワーの時を待ち並び立つ。
そこには、会わなくとも心まで途切れちゃいなかった仲間達もいる。
何も言わなくて良い。二人のその笑顔があればそれで良いと、知らねぇ時間を探ろうとはしなかった。
そう言った友人達もまた、偽りのない笑顔に満ちていた。

俺達はこの二年。過去に挑む準備として、カウセリングにも通い一つ一つを乗り越えて来た。
そして今日。
漸く、長い旅路の一歩を刻む。

合図のように、大きな鐘の祝福の音が響き渡った。
それは、悪魔や不幸を追い払うと言われている、カリヨンの鐘。

その音に導かれるように、真っ白なドレスを纏った迷いない笑顔のつくしと一緒に、新たな一歩を踏み出す。
未来を創りに、幸せの答えを探しに、二人手を取り合い、時に戦いながらも歩き続ける。
暗い過去だけじゃない、まだ見ることのない幸せが待っていると信じて…………。

「つくし、行くぞ!」
「うん」

だから俺達は行く。

今を生き、幾つもの今日を重ねて生み出す、明日よりもずっとずっと遥か遠くの──────────────その先へ…………。







【 その先へ Fin. 】


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【その先へ】これにて完結です。
苦しく辛い展開のお話にも関わらず、最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございました。
後日、改めて御礼とあとがきをアップさせて頂きたいと思います。
最後にもう一度……。
読んで下さいました全ての皆様に感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
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  • Posted by 葉月
  •  44

Comment 44

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2018.07.19

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2018/07/19 (Thu) 00:31 | REPLY |   
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2018.07.19

むん  

ありがとうございました

最終話ということで…
改めて最初から読みました

作者様の文章力にただただ尊敬です
悲しいけど…つくしの司への想いが感じられ、
司のつくしへの愛情の深さが見えた気がしました
2人の未来が、今よりも遥かに幸せであることは、確かだと思います
それでももっと幸せになって!と願ってしまいます

お疲れ様でした
そして素晴らしい作品をありがとうございました

2018/07/19 (Thu) 09:06 | EDIT | REPLY |   
Thu
2018.07.19

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2018/07/19 (Thu) 09:39 | REPLY |   
Thu
2018.07.19

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2018/07/19 (Thu) 13:13 | REPLY |   
Thu
2018.07.19

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2018/07/19 (Thu) 14:30 | REPLY |   
Thu
2018.07.19

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2018/07/19 (Thu) 17:47 | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

H* 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございます!

0時を待ってて下さったんですね!
いつもありがとうございます。
遂に終わってしまいました(涙)
私も力が抜けているところです。
辛くて泣かせてしまうことも多かったですが、最後に嬉し泣きに変わって頂けて本当に良かったです!
辛い時を乗り越えた二人ですから、より一層、強くなれると信じてます。
二人の強い絆があれば、この先の逆境にも必ずや乗り越えていけるはずです。

ラブな二人…………うっすらとした妄想なら浮かんではいるんですけどね♪
ちょっと、ゆっくりしながら考えてみたいと思います。

面白かったと言って頂けて感無量です。
最後まで見届けて下さいまして、本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 11:44 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

み* 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございます!

ずっと読んで下さっていたんですね!
本当に嬉しいです♪
み*さんのお言葉に、私こそ心が洗われます。
司もつくしも、良い男に良い女と言って貰えてホッとしました。
過去に挑み未来に立ち向かって行く二人は、益々、磨きがかかった素敵な二人になると思います!

長きに渡り読んで下さったこと、改めて感謝です。
ありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 11:46 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

ス******* 様

ス*******さ~ん、終わっちゃいましたょ~、と泣きつきたい気分です(笑)
最後まで優しい言葉と共にお付き合い下さりましたこと、本当に感謝しております。
眠気とも戦って下さり、すみません!
こちらで纏めてのお返事とさせて頂きますね!

最終話は、少しでもつくしの心の負担を取り除いてあげたいと、司は蓮見田の社員を守る選択をしました。
本来の司の気性を考えれば、この選択はかなりの葛藤があったと思います。
ですが、一番大切なのは何か。それを見極めることの出来る司は、憎しみだけでは何も変わらないと、自分の怒りの感情を封印して前を見る道を選びました。
後は、つくしの殻を壊すだけ!なのですが、そこは簡単には行かず……。
恐らく、それも覚悟の上で、駆け引きもせずに偽りのない気持ちの全てでぶつかりました。
つくしにとって、1.5は大きかったと思います。
このような傷を持つと、やはりその手の問題もありますから、経験値も少なく、いい加減な遊びをしていなかったという事実は大きかったと思います。
真面目な男で良かった!
そしてこれからは二人、手を取り合って、少しずつステップを踏んで行くと思います。
って流れでので、リクエストですよねぇ(笑)
もしや透視能力があったりするんじゃ……(^_^;)
頭に浮かぶシーンも増え続けてはいるのですが…………書いちゃいます?
いやいや、ゆっくり&じっくり考えたいと思います!

この5ヶ月間、ずっと支えて下さり、本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 11:48 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

ま*** 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!

最終段階に入るにつれ、一気に辛い展開に突入したので、先の見えない不安な状況だったと思います。
書いている私も、司&つくしに感情移入し過ぎて、また、最後の方は一話一話が長くなりましたので、途中で書くペースが失速したりも……(汗)
暗い過去を背負っても、必ず幸せになる道は残されている。それをテーマに書いてきました。
一文でも一台詞でも、心の片隅に残って貰える何かがあったとしたら、この上なく幸せです。
二人の門出を迎えることが出来、また、見届けて貰えて、本当に感謝しかありません。
重いテーマでぐったりしておりますが(でも心地好い疲れです)、今度はどんな二人を書こうかなぁ、と思案中ですので、またお話の更新があれば覗いて頂けると嬉しいです。
最後まで、本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 11:50 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

ふ******** 様

最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございます!

やっと二人が幸せに向かって一歩を踏み出せるスタートラインを迎えることが出来ました。
最後まで見届けて下さり、感謝しかありません。

素敵な信念です!私もそう信じたいし、信じます!
つくしが負ってしまったような傷は、残り越えるのが本当に大変だと思います。
それが分かるだけに、簡単に励ます言葉も上手く見つからないかもしれません。
せめてお話の中だけでも希望を捨てずにと、過去に挑み、未来で戦うとし、幸せを求めて二人で歩いていく姿を描きましたが、私もこのお話を書きながら、改めて色々と考えさせられたりもしました。
お話の中の司とつくしは、これから先、壁にぶつかっても立ち上がり、幸せを諦めずに歩んで行くんだと思います。
重いテーマではありましたが、支えて下さり、最後まで見守って下さいましたこと、改めて感謝申し上げます。
本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 11:52 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

か*** 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございます!

ハッピーエンド、やっと迎えることが出来ました~!
~ぬいぐるみを着た(この表現、笑っちゃいました)つくしの攻略は、どんな敵と対峙するよりも、司にとっては大変なものだったと思います。
全力でぶつかってやっと手に入れました。
長きに渡っての苦しみ。でも、この13年の月日は、誰しもが知恵と強さを身につけ、人を想える心を養える時間でもあったと思います。
ひ弱だった進くんも逞しくなりましたし、今だからこそ乗り越えられたのかもしれません。
仰る通り、一人では生きられませんよね!
これからは、二人で支えながら、きっと過去に勝つと思います!

今後に期待…………(滝汗)
甘~く、温~く、見守って頂けると助かります(^^;
こんなヘタレですが、今後とも宜しくお願い致します。
最後まで本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 11:55 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

b* 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございます!

勿体ないほどの褒め言葉に涙が出そうです!
本当にありがとうございます。
セリフまでそんな風に言って頂けて、凄く嬉しいです(*^^*)
実は、昔からセリフに苦手意識を持っていましたので、本当に嬉しくて♪
またも読み返しして頂けるそうで、ラストが分かっていると、また違う一面も見えるかもしれないので、楽しんで頂けると幸せです。

オリジナルですが、以前書いておりました。
今現在も残して公開してあるのは、一作だけなのですが…………前に書いたものなので、お恥ずかしい気も(汗)
いずれはオリジナルに戻るつもりでおりますので、その時にでもお知らせ出来ればさせて頂きますね!

次は何を書こうかと、ぼんやりした頭で考えておりますが、またお付き合い頂ければ幸いです。
最後まで本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 11:57 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

k**** 様

最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございます!

毎回更新を待って下さっていたなんて、本当に幸せです!
勇気を出して書いて良かったと、今沁々と感じております。
司の記憶喪失につくしの傷。
重い過去を背負わせてしまいましたが、まだ幼い10代の時に芽生えた愛情は失われることはありませんでした。
司の記憶喪失は、周りに落胆させる出来事ではありましたが、やはり当時の司を思うと不憫でして……。
愛情を人知れず温めて来た今のつくしだからこそ、労れる心も育ったのだと思います。
進も立派につくしを守り、13年の長い年月は、人を成長させる時間でもあったのだと思います。
進のセリフにしびれて下さり嬉しい♪
1.5は、私が許せるギリギリのラインでした(笑)
このお話に於いての司には、経験豊富ではあって欲しくなかったのと、かといって30にもなる大の男が、全く経験ないのも不憫に思えて、経験させた上で女は必要ないと本人に思わせることに!
終わってしまうことに寂しさを感じて頂けるなんて、こんなに有り難いことはありません。
番外編ですが、どうしましょッ!?と、悩んでいるところです。
ゆっくり、じっくり考えてみたいと思います。

辛い展開のお話だったのにも関わらず、最後までお付き合い下さいまして、本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 12:00 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

花********* 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございます!

色々な感情が溢れて、読むのも大変な時もあったかと思います。
後半は一話ごとの話も長く、それでも貴重な時間を割いて下さいましたことに、感謝しかありません。
また読み返しもして下さるとか!(嬉)
また違う一面を見つけて頂けたなら幸せです。
新連載につきましては、色々と悩み中ではありますが、また更新しました時には、是非覗いてやって下さいませ。
最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 12:01 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

く***** 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございます!

読み逃げ、全然大丈夫ですょ!
足を運んで下さり、目を通して下さるだけで、こんなに嬉しいことはありません。
長いお話を見届けて頂けたこと、感謝の気持ちで一杯です。
苦しい展開が続きましたが、漸く二人で手を取り合うことが出来ました。
これから先も、越えられない壁はないと、二人で立ち向かって行くんだと思います。
私の脳内には、この現世での時間が終わる時、互いに幸せだった、と笑顔を残す二人が浮かんでいます。
長いお話となりましたが、二人の幸せを見届けて下さり、本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 12:02 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

ゆ**** 様

最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございます!

終わっちゃいました(涙)
ゆ****さんには、沢山のコメントを頂き力を与えて貰って……、どうにか終えることが出来ました!
司の未来を見据えた言葉、素敵だなんて言って貰えて有り難い限りです。
きっと二人は山越え谷越え、幸せを求めて歩んで行くと思います。
前へ向く強さを感じて頂けたなら、最高に嬉しいです!
また読み返して頂けるなんて、感謝をどう現せば良いのか……本当に幸せです。
次の連載はどうするか悩み中ですが、また更新の際にはお付き合い頂ければ幸いです。
長きに渡りお付き合い下さいましたこと、改めて感謝申し上げます。
ありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 12:04 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

むん 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!

改めて読み直して下さったなんて、ただただ感謝するばかりです。
そればかりか、勿体ないまでのお言葉まで頂戴して、本当に嬉しく有り難く感じております。
きっとお話の中の二人は、これからも幸せを求め続けて行くと思います。
辛い思いをした分、沢山の幸せを求めにその先へ進んで行くはずです。
最後まで見届けて下さり、感謝申し上げます。こちらこそ、ありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 12:06 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

み**** 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!

最終話だけでもかなり長いのに、ここまでずっとお付き合い頂けたことに、感謝しかありません。
このお話、実は二つのプロットがあったんですが、一番最初に作り上げたプロットでは、事件を知った神島会長が、つくしを養女にする設定だったので、かなり出番が多かったのですが、やはり、つくしの傷を知る人物は最低限に抑えたく、二番目のプロットを採用。そのために、神島会長の出番が減りました(苦笑)
非常階段……司の妬き持ちやきは健在です。
しかも、類となれば余計ですよね!
1.5は、つくしにとっても救われるものだったと思います。女嫌いで本当に良かったです!
そして、海ちゃん…………忘れてました。
一体、何処でどうしてるんでしょうか(遠い目)
散々、書いておきながら、私の脳内からはもう消えております(汗)

番外編もぼんやりとは考えているのですけどまだ未定でして、新連載と共にじっくり考えて行きたいと思います。
その際には、また宜しくお願い致します。
最後まで読んで下さいまして、本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 12:08 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

n*********** 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございます!

毎日楽しみにして下さってたんですねー!
本当に幸せです。
それだけでも嬉しいのに、有り難いお言葉まで頂戴し、何重もの幸せを頂いちゃいました!
これでこのお話は完結となりましたが、また何か更新する時には、お付き合い頂ければ幸いです。
こちらこそ、最後まで読んで下さりありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 12:10 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

葉月  

コメントありがとうございます!

H********** 様

最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!

終わりましたー(*^^*)
そして、燃え尽きました(笑)
最終話は、11000字オーバーしてると分かり、引っくり返りそうになっちゃいました!

やっと二人の想いが一つとなり、過去に負けずに未来の幸せを掴みに動き出しました。
途中では、心臓に多大なるご負担をお掛けしてしまいましたが(笑)、それぞれの成長した姿を見届けて貰えたなら幸せです。
これからは、絶対に離れることはなく、貪欲に幸せを求めて歩んで行くのだと思います。

私らしかったですか?(^^;
確かに、切ない展開から始まるお話が多いかもしれません。
明るいお話はなかったか!と探ってみても、直ぐに思い出せたのは一つだけでした(汗)
私…………ネ暗なのかもしれません(._.)
それと、情報が早すぎます(笑)
ぼんやりと妄想だけはしてみたいと思います。
でも、まだ未定ですから!(笑)

あのお話、そうだったんですね!
それも読んでみたかったです。
そんな中でも、愛に満ちた世界観を生み出すのだろうな、と想像してしまいます。

今後はどうしようかと、まだ頭が纏まらない状況ですが、ゆっくり思案していきたいと思っています。
辛いお話にも関わらず、最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございました!

2018/07/20 (Fri) 12:12 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.07.20

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2018/07/20 (Fri) 15:23 | REPLY |   
Sun
2018.07.22

葉月  

コメントありがとうございます!

さ**** 様

こんばんは!
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

最後は、司の有りったけの熱い想いをぶつけ、漸く氷のように固めたつくしの決意を溶かすのに成功!
二人が未来に向けてスタートを切るところで完結とさせて頂きました。
長きに渡りお付き合い頂けたこと、本当に感謝しております。
喩えどんな悲しみを背負ってしまったとしても、幸せになれないなんて思うのは、まだ早いですからね。
それを知るのは、誰もまだ見たことのない未来にあります。
これからの二人は、幸せになれる可能性を信じて、今よりも明日、明日よりもその先へ、諦めずに歩んで行ってくれることと思います。
長くなったお話ですが、二人の愛を感じて頂けて、この上なく幸せです♪
まだ煮詰めてる段階ではありますが、またお話が更新された時には、遊びに来て頂ければ幸いです。

コメントありがとうございました!

2018/07/22 (Sun) 23:40 | EDIT | REPLY |   
Sun
2018.08.12

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2018/08/12 (Sun) 16:21 | REPLY |   
Fri
2018.08.17

葉月  

コメントありがとうございます!

カ*** 様

初めまして!
なのに、お返事が遅くなりまして、大変申し訳ございません(低頭)

一気に読んで下さったんですね!
貴重な1日の多くの時間を割いて頂き、申し訳ないと思いつつも、飛び上がるほど嬉しいです(*^^*)
しかも、読んで下さった日は私の誕生日でして、嬉しいコメントが何よりものプレゼントになりました♪笑

今は当初の予定より多くお休みを頂いておりますが、今日になってからお話を少しずつ書き始めております。
まだお時間は頂戴すると思いますが、更新出来ました時には、遊びに来て頂けたら嬉しいです。
今後とも宜しくお願い致します!
コメント、本当にありがとうございました!

2018/08/17 (Fri) 19:56 | EDIT | REPLY |   
Sun
2020.07.19

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2020/07/19 (Sun) 21:22 | REPLY |   
Sun
2020.07.19

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2020/07/19 (Sun) 21:22 | REPLY |   
Mon
2020.08.17

葉月  

✢ (アルファベット一文字様)様

コメント下さいましたのに、返事が遅くなりまして大変失礼致しました。
申し訳ございません。
また、その先へを改めて読んで頂きましたこと、本当にありがとうございます!
長いお話ですし一気読みですと、相当な時間と労力が必要だったのではないかと……。
嬉しすぎる感想からは、活力を頂いちゃいました!
また、更新は完全にストップしておりますが、今のところお話を下げる予定はありません。
ですので、お話の種類は少ないですが、またいつでも遊びに来て頂けたなら、この上なく幸せです♫

コメント、本当にありがとうございました!

2020/08/17 (Mon) 00:48 | REPLY |   
Tue
2020.12.08

ummm  

wonder

13年前、最愛の人が記憶を失い、
自分だけが忘れさられた。

その直後、男に襲われ、2度と忘れることがない傷を受けた。

そのうえ、その時には、最愛の人には、そばにいる事を許されたかのようにしか見えない女性がいた。

その女性は、肉体的な繋がりはなくても、13年後もかつての最愛の人と繋がっていた。

それでも、13年後に自分を襲った相手と、かつての最愛の人のために対峙した。

かつての最愛の人は、今も忘れることができない人であり、ずっと愛してきた人であったから。

だとしても、これ以上とはない傷の始まりは、忌まわしい出来事の発端は、かつて愛してくれた人が、自分を忘れたからでもある。

それなのに、人生において、これ以上とはない傷を受けた環境に、年月を経たからといえ身を投じることができるものだろうか。

新たな出会い、新たな環境でないと、人生の立て直しは難しいのではないだろうか。

物語とはいえ、疑問に思ってしまった。

司とつくしの物語は、また、2人で会えるようになるには、襲った相手と対峙し、傷口から再度鮮血を噴き出した後なら、さらなる年月を費やさないとどうにもならないのではないだろうか。

このままでは、また、心身とも蝕まれていくような気がする設定のように感じた。

司の記憶は失われず、彼女が襲われて姿を消した13年後に一緒に戦うという設定なら、まだ可能性はあるように思う。

愛した人に忘れられ、疎まれたあげく、男に襲われた。
人として、女性として、尊厳を踏みにじられた記憶、傷は死ぬまで消えない。

どんなに年月を経ても、忌まわしい出来事は、時には悪夢となって、生々しく蘇る。

耐えられるだろうか。

心はいつでも、小さなことをきっかけに、血を噴き出す事がある。

キリのようなものであいた、小さな心の穴は、いつしか人を粉々することもある。

いくら牧野つくしが、『雑草のつくし』であったとしてもそれは変わらない。

人が人である限り。

愛する者の不在は心に空虚を生む。

だが、愛する者の存在が苦しみや終わりなき痛みを思い出させるのであらば、生きるために、新しい環境にて、時の流れに身を任せたいと思うのではないだろうか。

ふと、そう思ってしまった。

2020/12/08 (Tue) 03:25 | EDIT | REPLY |   
Thu
2020.12.10

葉月  

ummm 様

初めまして!

先ずは、知慮に富んだ感想を頂きまして、ありがとうございます。
当初よりこのお話は、様々なご意見を頂戴するだろうと覚悟しておりました。

このお話を書くにあたりましては、事前に色々と読み、被害者の心の動きや回復過程を調べ、それに基づき考え、或いは想像し、二人のキャラに希望を見い出せるか否かを探りながら、大丈夫だと思えたところで踏み切って書いたお話です(筆力不足は否めませんが)。
しかし、クレーム要素を含む場合は別として、それ以外で、設定云々も含め、お話に同意出来ない等々のご意見に対しまして、返す言葉を私は持ちません。
『その先へ』を書き上げた私にも私なりの根拠があり思いがあるように、話を読んで下さった方の数だけ抱く思いは様々で、それを否定は出来ません。理解して下さいとも言えません。
感じ方は人それぞれで、どう受け取るのかは、お語を読んだ方のものだと捉えております。
ただ、楽しんだり共感して頂ければ大いに喜びますし、私とは異なる見解であれば、参考にさせて頂きたく考えを巡らせたいと思います。

現実社会では難しいことでも、現存しない二人だからこそ叶えて欲しいものがあったり、夢や幸せを託したくなります。せめて二次の世界くらいは、希望を求め続けても良いのではないか。それが基本的な柱として存在していますので、お話によってはご都合主義な展開もあるでしょう。
しかし、重いテーマを取り上げるのであれば、それを軽んじるべきではありませんので、今後もより慎重を重ねながら、お話を書いていきたいと思っております。

長いお話の上に、心が晴れない読後感だったのだと思います。
そんな中で貴重な声を送って下さいましたこと、最後まで読んで下さいましたこと。改めてありがとうございました。

2020/12/10 (Thu) 15:36 | EDIT | REPLY |   
Wed
2021.07.21

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2021/07/21 (Wed) 06:30 | REPLY |   
Wed
2021.07.21

葉月  

ぽ✤ 様

こんにちは!

おぉー、三度目の読み直し!
お疲れ様でございました。
もうなんてお礼を申し上げれば良いのか、有り難いお言葉と共に感謝しかありません。
ありがとうございます(≧▽≦)

そして⋯⋯。
ぽ✤さんのS視点に爆笑!
そこ、そこなのね。ぽ✤さんのS心をくすぐるのは!と、一人で受けてしまいました!笑

番外編についてはですね、当時から構想は頭にはあるんです。
あるんですが、何故か形に出来ない!って躓きから立ち直っておらず、PCには一話分だけ形にしてあるものの、納得がいかずでして⋯⋯。
いつか、向き合うことが出来て書ける日が来ましたならば、その時は、また一緒に楽しんで頂けたら幸いです。

コメントありがとうございました!

2021/07/21 (Wed) 12:49 | EDIT | REPLY |   
Fri
2021.07.23

きつね  

今更ですが

連載終了からかなり経っていますので今更ですが‥
「その先へ」は衝撃でした。
権謀術数渦巻く腹の探り合い、ヒリヒリとしたサスペンス要素、なにより布石を全て回収した納得の辻褄合わせ。息を呑みました。
そしてレ○プはプロ、非プロに関わらず扱いづらいセンシティブな犯罪でもあります。
この難しいテーマを、被害者である主人公に寄り添いつつ、彼女が力強く解決に導く眩いまでの勇気と気概、とはいえ残るトラウマへの葛藤。
さすがです。圧巻でした。
葉月さまの大ファンとしてこれからも連載楽しみにさせて下さい。

2021/07/23 (Fri) 02:28 | EDIT | REPLY |   
Fri
2021.07.23

葉月  

きつね 様

こんばんは!

このお話は、私自身、考えさせられることが多く、またスタートするにあたっても、覚悟を決めるまで相当な時間を要しましたが、何とか完結まで持っていけることが出来ました。
これも読んで下さる皆様がいたからこそで、本当に有り難いなと時間が経った今でも思います。
これからも妄想を繰り返しながら(苦笑)、それを少しでも文字化していけるよう、時折、休憩を入れつつ続けていきたいと思いますので、こちらこそ、引き続きお付き合い頂ければ、こんな嬉しいことはありません。
改めまして、今後とも宜しくお願い致します。

コメントありがとうございました!

2021/07/23 (Fri) 19:15 | EDIT | REPLY |   

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