手を伸ばせば⋯⋯ The 2nd 11.【最終話】
振り返った先を視界に映すなり、声を張り上げた。
「さ、桜子!」
あのバカップルめ!
桜子がここに居るってことは、無理やり拉致ってきたのかよ!
窓辺に置かれたロッキングチェアに座っている桜子は、昔の俺たちが司にしたように拘束こそされてはいないものの、今の現状があの当時を真似ているとなれば、無理やり連れてこられてここに閉じ込められた可能性が高い。
「桜子、大丈夫か? 無理やり連れて来られたんだろ? 全く何を考えてんだ、あいつらは!」
捲し立てながらツカツカと早足で詰め寄れば、桜子がすっと立ち上がった。
「落ち着いて下さい、美作さん。まずは座りません?」
拉致られた割には桜子の表情に焦った様子はなく、声の調子もいつもと同じ。それが幾分か俺を落ち着かせ、桜子に促されるままに向かい合わせでソファーに座る。
だからと言って、バカ二人に思うところがないわけじゃない。司たちの今回の仕業は、悪戯にしても度を超しすぎだ。
今にも舌打ちしそうな顔でもしていたのか、桜子が俺を見て苦笑した。
「違いますよ、美作さん」
「⋯⋯違う、って?」
「美作さんが思っているのとは違います。無理やり連れて来られたわけじゃありませんから。私は私の意思でここに来ました」
「意思⋯⋯うん?」
要領を得ず、思わず首を捻る。
司たちに巻き込まれたわけじゃないのか?
だとして、何故わざわざこんなとこに? と、眉を顰めた俺は、ますますこの状況の謎が深まるばかりで、だから全く想像もしていなかった。
「自分の気持ちにけじめを付けたくて、だから先輩に協力をお願いしたんです」
こんなことを言われるなんて⋯⋯。
寄せていた眉が、驚いた反射で跳ね上がる。
桜子の言わんとする意味。それが何か分からないほど、俺も鈍くはない。
ただ、思ってもみなかった事態であるのは確かで、自分はどうすべきかと考えを巡らせている間に、決定的なものが来た。
「私、美作さんが好きです。どんな時でも仲間のためを思う美作さんに、いつからか、どうしようもなく惹かれてました」
真っ直ぐに見つめられ、何かを返そうにも声が喉の奥に絡まり出て来ない。
何も言えないのは、困ったからでも、迷惑だからでもない。驚愕に襲われたってのはあるが、それが理由の全てじゃない。
圧倒されたからだ。その真摯な想いに。
濁りがなく透き通った瞳。それでいて力強く、どれほどの想いを抱いてくれているのかと、自惚れだと言われようが、その眼差しを見れば疑いようがない。
何の打算もなく、駆け引きもなく。こんな実直な想いを向けられた経験などない俺は、いつだって他の誰かの本気の恋を見守る側の、一歩引いた傍観者だった。
だから、圧倒された。自分には縁がないとばかり思っていた、純粋な想いを目の当たりにして。
「⋯⋯ありがとな、桜子。ごめん、今まで気づかなくて」
呼吸を一つ整えて何とか言葉を紡げば、笑みを崩すことなく桜子が首を振る。
「気にしないで下さい。これは私の我が儘で、自分の気持ちに決着を付けたかっただけですから。美作さんを困らせたかったわけじゃありません」
すっきりとした笑顔は、初めから見返りなど期待していないと物語っている。それが余計に、不純物のない想いであると知らしめた。
「でも、驚かせたいとは思ってましたよ。妹のような存在が旅立つ寂しさを、紛らわせてあげられるくらいには」
まさかそこを突かれるとは思わず『え』と唇が形を成したまま止まり、同時にそれまでも煩かった鼓動が、一際高鳴った。
何やら俺の心臓は偉いことになっている。
バクバクと高鳴るだけじゃなく、何かに抓まれたようにぎゅっと痛むわ、何処か陽だまりような温かみを感じるわ、いっぺんに色んなものが押し寄せての大騒動だ。
でもどれもこれも、嫌な感覚じゃない。
「先輩が退職するのに寂しくないはずないじゃないですか。再会してから今日まで、美作さんはずっと近くで先輩を見守ってきたんですから」
参った。本当に参った。完全に見透かされている。
そこまで俺の気持ちに寄り添い考えていてくれてたとは、思いもしなかった。直ぐにでも白旗を揚げてしまいたくなる。
ここまで想われてこの先、桜子を意識せずにいられるかといえば、答えは簡単。否だ。
さりとて、直ぐに気持ちに応えるのも違う。単に流されたと勘違いされたくはないし、幸せになって欲しいと予てから願っていた女だ。ちゃんと考えて誠実に向き合いたかった。
この胸の騒がしさが何なのか、そこに名前をはっきりと付けられるまで。
「驚かせたかったんなら、大成功だ。お陰でバカな妹のことは、すっかり頭から飛んだしな。
⋯⋯正直に言うよ。桜子の気持ち、凄く嬉しい。嘘じゃない、本当だ。でも同時に戸惑ってる。この気持ちが何なのか、俺自身がまだ把握しきれてないんだ。だから、時間をくれないか? 自分と向き合う時間が欲しい。ちゃんと自分の気持に向き合って、それから答えを出したい。それじゃ、駄目か?」
「ありがとうございます。そう言ってもらえただけで充分です。
本当は私、この想いは誰にも言わず、蓋をしようと思っていたんです。なかったことにしようって。でも、先輩は気づいてしまったようで。だから先輩は、美作さんに近づく女性を排除したり、わざと私をパーティーのパートナーにしたんだと思います」
嘘だろ。
牧野のヤツ、自分が司とデートをしたいがために、パートナーの役を桜子に押しつけたとばかり思っていたが、何食わぬ顔して女の排除をしたのも含め全部、気を回してのことだったのかよ。
「先輩に言われました。どんなに誤魔化そうとも、自分自身は騙せないって。誰かを想う気持ちは、抱こうと思って抱けるものじゃないから貴重なんだって。想いが成就しようがしまいが、育った感情から目を反らしたら前にも進めない。それに気づくのに自分は相当時間が掛かったから、その分苦しんだって、そう言って笑う先輩が凄く綺麗で。
だから先輩にお願いしたんです。今日、美作さんと話せる時間を作ってもらえるように。
それでここを指定されて、着いたらメールするよう言われたんですけど⋯⋯。でも流石に閉じ込められるとは、私も想定外でした」
最後に桜子がクスリと笑う。
牧野なりに考え、桜子の背中を押していたとは知らなかった。
最近じゃ、天然の姿ばかりを見せられていただけにビックリだ。
「たまには牧野もまともなことを言うんだな。でもまぁ、折角あいつらがくれた貴重な時間だ。ダイニングにワインも置いてあるだろうし、飲みながら二人の時間を楽しむか」
「ええ。今日は、美容のことも忘れて朝まで付き合いますよ。話題に事欠かない先輩と道明寺さんの話だけでも、朝まで持ちそうですしね」
「こんな時まであいつらの話かよ。確かにあの二人の話なら、朝まででも足りないくらい豊富にあるけどな」
「二人をネタに幸せを分けてもらわなきゃ」
「そうだな」
早速ワインを探しにダイニングに向かう。
だが、ワインセラーを覗くまでもなく、リボンが結ばれたボトルが、キッチンカウンターに用意されていた。⋯⋯手書きのメッセージカードまで添えて。
~美作さんへ~
今まで沢山心配をかけた兄へ、妹からのプレゼントよ!
P.S 時折、桜子を見る眼差しが特別優しく見えたのは、私の気のせいじゃないと思うけどな。
「おまえは出来のいい妹だったんだな」
ふっ、と笑み零しカードをジャケットにしまった俺は、ワインボトルを手に桜子が待つ下へと急いだ。
✾
これも神の祝福か。
雲一つなく空はどこまでも澄み渡り、今日は二人の門出を祝うに相応しい晴天に恵まれた────。
「入ってもいいか?」
重厚なドアの前。三回ノックしてから声をかけた。
「どうぞ」
鈴のような声からの許可が下り、俺は、類と総二郎と共に中へと入る。
視界に飛びこんでくるのは、窓からの陽射しを燦々と浴びて光り輝く、純白のドレスに身を包んだ牧野の姿。
そう。ここは花嫁がいる控え室。とうとう牧野が嫁に行く。
「おめでとう、牧野! つーかこれまた一段と綺麗になったな! これじゃ司のヤツ、卒倒すんじゃね?」
「やめてよ西門さん。でも、ありがとう」
トップバッターを切って総二郎が祝えば、牧野は初々しい新婦らしく、恥じらって頬を染める。
牧野の照れが引かないまま、総二郎の後に類が続いた。
「うん、凄く綺麗だ。牧野、幸せになりなよ」
「ありがとう、花沢類」
言葉は短くとも、そこに想いをたっぷり詰め込んでいると思われる類は、見上げる牧野の肩に両手を置き、額に優しいキスを落とした。
司に見られたら大事になりそうだが、流石に今日ばかりは見て見ぬをふりをしてやろう。
そして、類が場所を譲るように退き、いよいよ俺の番が巡ってきた。
類が居た場所まで、一歩、二歩と近づき、牧野の前に立つ。
「おめでとう⋯⋯幸せにな」
今まで色んな牧野の顔を見てきただけに、今日は思いも一入。再会した頃には想像もつかなかった、幸せに満ちあふれた顔が今、目の前にある。それを直視するのは、どうにも俺には難しかった。
胸に迫るものが邪魔して、気の利いた台詞一つまともに浮かんでこない。
「美作さん。本当にありがとうございました」
⋯⋯止めろよ。
いつもみたいにふざけろよ。何で俺にだけ敬語なんだよ。普段は俺で遊ぶくせに、らしくもない真面目な顔なんて見せんなって。
とどめに頭まで深く下げられちゃ、もう限界だ。
目の奥が熱くなって堪えられそうにない。
俺は、逃げるように顔を下に落とした──────が。
「ぷっ!」
遠慮なく吹き出しながら、ニョキッと下から現れた、人の顔を覗き込む悪魔。
「くくくっ! あきら泣いちゃう?」
「からかうな、バカ。こっち見るな」
「でも、あきら泣きそうだよ? 嫁に出す父親みたいな顔してる」
⋯⋯な、なに? 父親だと?
俯かせていた顔を意地でクイッと持ち上げる。
「父親はやめろ。せめて兄と言え、兄と」
込み上げてくるものにどうにか逆らいながら、当然の主張をすれば、「えー、これでも気を遣って父親って言ったのに」と、どこに気遣いがあるのか分からない奇妙なことを言われる。
「だって、牧野が言ってたよ。あきらのこと、お母さんみたいって思ったことがあるって」
「花沢類! それ言っちゃダメなヤツ!!」
真面目な顔を瞬時に消し去り慌てる牧野と、「おか、おか⋯⋯お母⋯⋯」口をパクパクさせ、一気にショック状態に陥る俺。
否定しないってことは、牧野。思ったんだな。俺を、お、お母────って、ちきしょー! 口にするのも忌々しいわ!
よくも俺をオカン扱いしやがったな。お陰で涙も蒸発したわ!
目を据わらせて牧野を見てやるが、「えへっ」と年甲斐もなく首を傾げて誤魔化す気満々。
いつもの調子に戻った牧野に「ふざけんなーっ!」と叫べば、俺たちの間に確かにあった、しんみりとした時間は儚く消えた。
そこに騒々しい足音を廊下に響き渡らせ、
「てめぇら! 俺より先に新婦に会うんじゃねぇーっ!」
乱暴にドアを開けるなりの開口一番、怒鳴り散らす新郎まで登場するんだから、俺に纏わり付いていた湿っぽい雰囲気は、もうどこにもない。
喧しく登場した新郎はと言えば、威勢が良かったのは最初だけで、牧野を見るなり面白いくらいに固まった。
牧野の美しさをまともに食らい、声を失ったらしい。
「おーい、司。大丈夫かー? 魂抜けてんぞー」
からかい半分、呆れ半分で総二郎が声を掛ければ、我に返った司はガバッと牧野に抱きつき、感無量に言う。
「綺麗だ。こんな綺麗な花嫁、世界中探してもどこにもいねぇ」
抱き合いながら幸せを噛み締めているだろう司と牧野。そんな二人を、暫し生温く見守る。
しかし、いつまでものんびりしているわけにはいかない。
挙式前に結婚会見を開く二人は、そこでいよいよ牧野のお披露目をする。
俺は腕時計を確認し、声を掛けた。
「司、会見の時間は大丈夫か?」
「あ⋯⋯そうだった。それで迎えに来たんだった」
幸せ過ぎて大事な会見すら頭から抜け落ちてたらしい。
それも仕方ない。やっとだ。遠回りしてやっと互いの手を取り合えたんだ。万感の思いが胸を浸すのも無理はない。
でも、だからこそだ。漸く繋がった二人の確かな絆を、誰に隠すことなく堂々と世間に見せつけてやればいい。
「何だか緊張してきた」
牧野が小さく呟き、珍しいことに表情まで硬い。
「牧野、プレゼンだと思え」
「何よ、美作さん。他人事だと思って」
「他人事だなんてとんでもない。俺はおまえの母だしな」
「うわっ、根に持ってる! 恐っ!」
わざと薄笑いで言ってやれば、牧野の顔の強ばりは途端に解ける。
牧野の緊張が少し解れたところで、司が自信に漲る力強い眼差しを向けた。
「つくし、何も心配はいらねぇ。俺がついてる。俺の手をしっかり握っとけ」
この目にかかれば、どんな困難も可能にしてしまうだろう。そう思わせるだけのオーラが司にはある。そして実際、黒でも白にしてしまう力もある。
生まれながらに備わったオーラ。そんな心強い司の存在に引きずられるように、牧野の目にもパワーが宿り、覚悟を決めたようにしっかりと頷いた。
「行ってくるね」
司の手をしっかり握りしめた牧野が、俺たちに笑顔を向ける。
繋いだ手を離さぬまま部屋を出て行く二人を、俺たちもまた笑顔で見送った。
それから数十分後に始まった会見を、俺は今、画面を通して見守っている。
眩しいフラッシュに照らされ結婚報告をする二人。
人を圧倒させる目力を持つ新郎は、けれど、新婦を見る時だけは、愛でるように柔らかい。
並びに座る新婦は、溢れんばかりの笑顔と曇りのない真っ直ぐな瞳で、愛する男からの眼差しを受け止めている。
誰が見てもお似合いだと認めざるを得ないだろう二人は、記者から次々と質問を浴びせられ、今も止む気配がない。
『道明寺さん、今のお気持ちをお聞かせ下さい』
『幸せです。彼女に出逢って初めて、自分は幸せと言うものを知りました。彼女と出逢えた運命に、彼女を産み育ててくれたご両親に、そして、高校以来会うことはなかった彼女と引き合わせてくれた友人たちに、今改めて感謝申し上げたい』
カメラを真っ直ぐに捉え堂々と幸せを語る司は、悔しいが男の俺から見ても格好良い。
『新婦のつくしさんにお訊ねします。道明寺財閥に嫁ぐことに、不安や戸惑いはありませんか?』
『不安がないと言ったら嘘になります。でも、迷いはありません。肩書きとか関係なく、ただの一人の男性として、私は道明寺さんをお慕いしています。
今までもそうであったように、この先の長い人生には、良いことばかりではなく苦難もあるかもしれません。それでも、どんな未来が待ち受けようとも、私は司さんの傍で同じ景色を見たいと望みます』
凜とした美しさだった。
牧野は司に甘えるだけの女じゃない。共に戦う覚悟も秘めている。その芯の強さと司への溢れる想いは、見ている者たちにも伝わり、魅了しただろう。
羨ましい。二人を見て率直にそう思った。
たった一人を愛しぬき、その者のために己をも強くして手に入れた幸せ。これからもずっと互いを守りながら、そして新たな笑顔を積み重ねていくのだろう。
俺も、たった一人の相手と自分のための幸せを求めて生きてみたい。そんな強い思いが、胸の奥にそっと育つ。
画面の中では、まだまだ続くと思われた会見が、牧野の受け答えが終わるや司の合図で早々に打ち切られた。
それもやむなしだ。一瞬アップになった司の目には、光るものがあったんだから⋯⋯。
会見を終え、神の前での誓いも済ませ、夫婦となった二人が教会の外へと向かってバージンロードを歩く。
普通なら腕を組んで歩くだろうに、司と牧野は手をがっちりと握り合って離そうとしない。
教会の外に二人が出れば、空に向かって白い鳩が放たれ、笑顔塗れの参列者からは、永遠の幸を願ってライスシャワーの祝福が注がれる。
それも終われば、今度はブーケトスだ。
司と繋いでいない方の牧野の手には、ピンク色のハート型ブーケ。
司と牧野は何やら楽しそうに語らい、だが次の瞬間、
「あきら! ボケッとしてねぇでもう少し前に来い!」
いきなり名指しされ、背後を滋に押されてしまう。
滋も司も知らないのかよ!
ブーケトスって言うのはな、独身女性が受け取るもんなんだ! 名指しされた俺が恥ずかしいじゃねぇかよ!
でもまぁ、本当に知らないのかもな。こいつら常識知らずのバカだし。
押し出されたまま、残念そうな眼差しを送って呆れていれば、
「桜子、行くわよ~!」
今度は牧野が大きな声を出す。
司の発言を軌道修正をするように呼ばれた桜子も、誰かに押し出されたのか、俺の隣に並んだ。
沢山の独身女性がいる中の名指しはどうかとは思うが、一応牧野は、ブーケは女性に渡すもんだと知っていたらしい。何よりだ。
「せーの!」
牧野の掛け声と共に、牧野の手から放たれて高く舞うブーケ。
牧野ご指名の桜子を狙ったと思われるそれは、弧を描き、そして空中で二つに分かたれた。
ハートの部分が半分に、しかしブーケハンドルに巻き付けられている赤いリボンは決して離れず、二つで一つとなるブーケ。
その半分が俺の手に、もう片方が桜子の手にストンと収まる。
「やったーっ!」
それを見てはしゃぐ牧野は、司と手を叩き合って喜び、周りからは歓声まで上がってしまう。
唖然とするのは俺と桜子だけ。
プリザーブドフラワーで作られた片割れを、それぞれに持つ俺たちの間で揺れるリボンは、まるで赤い糸のように、二人を繋いでいた。
「幸せのバトン、確かに渡したからね~!」
⋯⋯幸せのバトン、か。
牧野の言葉で思考が動き出し、瞬時に浮かぶ一人の顔。
うん、悪くない。
俺が頭に浮かべるのは、幸せそうに笑う一人の女。
想像した笑顔を現実で沢山見てみたい。
他の誰かに託すなんて真っ平ごめん。冗談じゃない。この笑顔は俺が作る。
そう思ってしまうこの気持ちに名前をつけるとするならば、恋か、恋慕か、寵愛か。あり過ぎて選択するのに困るそれらは、全部正しく己の中にある恋愛感情。
自分の奥底に芽生えていた気持ちを確かに感じ取った俺は、手を伸ばし、傍にある小さな左手を、そっと握りしめた。
【手を伸ばせば⋯⋯ The 2nd fin.】

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先ずは、最終話を書き上げるのに時間がかかってしまい、申し訳ありませんでした。
ほんの少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。
また後日、改めてあとがきを書きたいと思いますが、一足お先にこちらから⋯⋯。最後までお付き合い下さいました皆様、どうもありがとうございました!
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