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  • Posted by 葉月

その先へ 13



3週間ほど海外出張に行ってた俺は、昨夜遅くに帰国した。
今朝、久々に日本支社に出社し、西田から1日のスケジュールを告げられた後、以前にも聞かされていたらしい1週間後の予定までも確認される。

「それと来週の火曜ですが、前にもご報告しました通り、アリオスジャパン主催のパーティーへ出席となっております」

「あー……忘れてた」

「ちなみにパートナー同伴です」

「欠席に───」

「出来ません」

欠席にしろ、と言い終わる前に却下される。
確かに、アメリカに本社がある企業で、無下には出来ない。
日本に進出しての周年パーティーだったと思うが、参加すべきと理解しても、どうしても気が重くなるのは何時ものことだ。

「今回は、牧野さんにパートナーを頼もうかとお願いしたのですが……」

「牧野?」

「はい。ですが、断られました。」

「何でだよ」

「その日は、協会での研究会に出席予定だそうです。予定がなくても絶対に嫌です、とも申しておりましたが」

「…………」

どんだけの拒絶だよ、と唖然と言葉を継げられずにいると、ノックと共に話題の人物が入ってくる。
出張には同行していなかった、3週間ぶりに顔を付き合わす牧野だ。
この朝一の時間だけは、俺が警戒しなくても済むコーヒーがいつも出される。

「副社長おはようございます。出張お疲れ様でした」

「おぅ」

コーヒーを置いた途端。早速、俺の顔色チェックが始まった。

「うーん、出張帰りですもんね。やっぱりお疲れのようですね」

大人しく久々のチェックを受け終われば、すかさず聞く。

「牧野、来週の研究会? それって休めねぇの?」

「無理です。それより副社長?」

あっさり棄却の、それよりで一刀両断。

「……なんだ」

「リゾートホテルの周辺開発において、今後問題提議となりそうな箇所と、その対策案を纏めてありますので、ご確認をお願いします」

見れば、ファイリングされたものがデスクに置いてある。

「分かった」

先月、視察に行ったリゾートホテルは、あの後スピーディーに事を運び、役員会の承認も経て、無事、譲渡契約調印を結ぶことが出来た。

既にプロジェクトチームは立ち上がり、動き始めている。
ホテル周辺も開発し、道明寺ブランドの認知度があれば、集客拡大の勝算は充分にある。
生まれ変わるリゾート地の工事にあたっては、委託するべきものは委託し、またその業者を選択しながら、必要なものはコンペで決めることになっていた。

「あ、西田。蓮見田(はすみだ)は、今回も入れるなよ」

「畏まりました」

「…………蓮見田って……蓮見田カンパニー、ですか?」

牧野の問い掛けに頷く。

「ああ。昔から付き合いのある会社だが、どうも今の社長になってからきな臭ぇ。徐々に契約は減らして来たが、今後一切取引はしねぇつもりだ」

昔は多くの分野で手を組んで来た大手企業だが、最近は内装建材のみに留めてる。
いけすかねぇ社長はワンマンで、やり口が汚ねぇとの評判もあるし、その息子の専務は、小心者で社長の言いなりのヘタレ男。
経営も厳しいらしいって噂だ。
どうせ先が見えない会社なら、この辺りでぶった切った方がいい。

いずれ俺がこの会社のトップになるのは既定路線。
それを快く思わない奴等もいる。
社内に於いては、いずれ牙を剥くだろう、俺の失態を虎視眈々と狙ってる取締役員や、社外に於いては、目の敵にされているライバル社。
だからこそ隙は与えない。
危険な芽を摘み取るのも、昔からのしがらみを断ち切るのも俺の役目だ。

「…………確かに良い評判は聞きませんものね。賢明な判断だと思います」

「牧野も知ってるのか?」

「あー、インハウスでずっとやって来たので、多少の噂は。では副社長、ご確認宜しくお願いします。私はこれから法務部に行って参りますので」

ペコリと頭を下げ足早に出ていった牧野は、経営戦略部や法務部、あちこちへと部署間を駆けずり回ってるらしい。

「あの女は、いつもせかせかしてんな」

「自分の仕事をこなしつつ、プロジェクトチームからは勿論、営業やマーケティングなど、様々な部署からも相談を受けてるようですからね。あの明るく気さくなお人柄のせいでしょう」

で、合間には俺の飲みモンを用意して、生活も整えようと面倒極まりないことまでやるお人好しか。
どんだけ落ち着きなくバタバタしてんだよ。

「副社長、先程のパーティーの件ですが」

「いつも通りでいい。アポ取っとけ」

「…………畏まりました」

失礼します、と背を向ける西田を見ながら、ふと思い付いて呼び止めた。

「西田」

「はい」

「牧野は、いつメシ食ってんだ?」

「昼食でしたら、副社長が召し上がるのを見届けてから、昼休憩を取り食堂へ行っておられるようですが」

「…………これからここに、二人分用意しろ」

「昼食を、ですね? 畏まりました。早速、今日から用意致します」


目の錯覚か?
西田の口元が僅かに上がった気がした。
どうやら俺は、牧野が言うように出張の疲れが相当に溜まってるらしい。

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  • Posted by 葉月
  •  4

Comment - 4

Thu
2018.03.15

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/03/15 (Thu) 00:23 | REPLY |   
Thu
2018.03.15

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/03/15 (Thu) 00:56 | REPLY |   
Fri
2018.03.16

葉月  

コメントありがとうございます!

*香 様

こんにちは!
お話にお付き合い下さり、ありがとうございます。

ニタニタして頂けて良かったです♪
イケイケと、今後も司のお尻叩きを宜しくお願いします(笑)

花粉に風邪が重なった時は、相当お辛いでしょうね(汗)
お花見も行くのは厳しいですものね。
そう言えば、私も花見はここ何年もしてないような……。
運転しながら流し見る程度です。
毎年のことながら、4月からは仕事が夏まで多忙期に突入するので、お花を見る余裕もないんですよね(汗)
更新もままならなくなるかもですが、、引き続き温かく見守ってやって下さいませ!

コメントありがとうございました!

2018/03/16 (Fri) 12:39 | EDIT | REPLY |   
Fri
2018.03.16

葉月  

コメントありがとうございます!

ス******* 様

こんにちは!
お話にお付き合い下さり、ありがとうございます。

頂いたコメントを読みながら、流石、目の付け所が! と、全て答えてしまいたくなるくらいウズウズしておりました!(笑)
こうして返信を書かせて頂いてる今も、ウズウズ続行中です!
14話は触り程度ですが、疑問は解消されるかと思いますので、答え合わせは暫しお待ち下さいませ♪
二人でのランチもスタートしそうな気配ですし、またお付き合い頂ければ幸いです。

コメントありがとうございました!

2018/03/16 (Fri) 12:44 | EDIT | REPLY |   

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