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Archive: 2023年07月  1/1

Lover vol.46

「桜子⋯⋯、おまえ、一体何があってそんな姿に⋯⋯」美作さんが愕然とした表情で桜子を見る。美作さんだけじゃない。庭に引っ張り出してきた男性陣の誰しもが、唖然と立ち尽くしている。みんなが向かう視線の先は、主に桜子。抜きん出て桜子の姿がボロボロだからだ。ジャージー姿の桜子は、髪がほつれ、肩は落ち、いつものシャンとした姿はどこにもない。「⋯⋯どうもこうもありませんよ。先輩に嫌がらせされたんです。この私が畑仕事と...

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Lover vol.45

 Lover vol.45「改めて先輩、ご結婚おめでとうございます!」「つくし、おめでとう!」「おめでとう、つくし」私の部屋に集合した女四人。それぞれがソファーに腰を落ち着かせるなり、桜子、滋さん、優紀、と輪唱のように祝いの言葉が続く。――――全く以て、めでたいとは程遠い結婚なのに、何がぬけぬけとおめでとう、よ。元はと言えば、美作さんを始めとする友人たちが余計なことをしたせいで、司と再会する羽目になったし、延いて...

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Lover vol.44

 Lover.vol.44「やーっとご招待かよ。数段飛ばしでサクっと結婚しやがって。世話焼いた俺たちには事後報告で、今日まで顔も見せねぇとか、随分と薄情なんじゃねぇの、司くんよ」初っ端から喧しくイチャモンをつけてくるのは、総二郎だ。進と協力してスピード買収を仕掛けたもんだから余計な時間はなく、結婚前にこいつらに説明する暇もなかった。それが面白くないらしい。「うっせぇな。暇がなかったんだ」つくしが急に思い立った...

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Lover vol.43

 Lover vol.43「なっ、なによ、これはっ!」婚姻を世間に公表した今日。与えられた部屋でひとり、ワイドショーを観ていた私は、愕然とした。道明寺司の妻として紹介され、画面いっぱいに映し出された写真。コメンテーターの人たちが一斉に笑い出したそれは、大口を開けて、今まさにラーメンを啜ろうとしている、私の顔だった。ラーメンを前にして、幸福に満ち溢れた嬉しそうな顔。己の顔ながら締まりがなく⋯⋯、これはいくらなんで...

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