Archive: 2023年01月 1/1
Lover vol.19

Lover vol.19類と牧野が、話ながらこちらへと向かって歩いて来る。司を煽ってしまった身としては、どんな再会になるかと気が気じゃない。牧野からは死角になっているのか、司の存在にはまだ気づいてないようだ。というより、類との話に夢中で、俺たちの存在にも気づいていないと思われる。背筋を伸ばして歩いてくる牧野が纏うのは、ビスチェタイプのAラインドレス。ドレスの色のコバルトブルーが肌の白さを一段と際立たせ、とて...
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Lover vol.18

――腫れてねぇか?先に船に乗り込んでいた俺は、優紀ちゃんを連れ向こうから歩いてくる大男二人の顔に、殴り合いの形跡はないかと、目を凝らす。⋯⋯おっと、これは意外。腫れてもなければ、切れた箇所もなさそうな二つの顔。何より二人からは、険悪な雰囲気を感じない。笑顔で優紀ちゃんと話す総二郎と、愛想が良いとはいえないが、険しい顔でもない司。捕獲役を総二郎に押しつけておいてなんだけど、まだ迷いのありそうな司と、司に...
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Lover vol.17

Lover vol.17短く息を吐き出し、開き直りの心境で口を開く。「あんな? 情けねぇつーなら、司だけじゃねぇから。俺の話訊いたら、少しは気も楽になんじゃねぇか」「あ?」「俺はな⋯⋯。好きな女を想って、他の女の前でボロボロ泣いたことがある」「ぶほっ!⋯⋯っ!」煙を吐き出しながら咽せた司は、ギョッとした顔で俺を見た。目が合ったと思ったら、今度は訊かなかったことにしようとでも思ったのか、気まずげに視線外しやがって...
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Lover vol.16

今日からまた更新して参ります。どうぞ今年もよろしくお願いいたします! Lover vol.16「滋に頼まれて来たのか」久々に会うっつーのに、愛想がないとこだけは相変わらずか。「まぁな。猛獣を捕獲しろって命令が出されてよ、こうして迎えに来てやったってわけだ。それに、俺だけまだ司に会ってなかったしな」滋から直接頼まれたってより、あきらに泣き付かれた、って方が正しいけど。何でも司は、本来の姿からは程遠いくせに、ダチ...
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