Archive: 2022年09月 1/1
手を伸ばせば⋯⋯ The Final 12.

――この男、一体どれだけの割合で、一晩に何回やってるんだ!?思わず背も態度も糞デカイ男をマジマジと見る。「あ? 何ジロジロ見てんだよ」「いやー⋯⋯その、なんだ。アレ、なんだけどな――――」一年持ちそうか? と直球を投げ掛け淡白疑惑を払拭したかったのだが、タイミング悪くドアがノックされるや否や、他の奴らが雪崩のように押し入ってきて、最後までは言わせてもらえなかった。 手を伸ばせば⋯⋯ The Final 12.「よっ! あき...
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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 11.

新緑が眩しい季節。爽やかな風がそよぎ、梢の葉擦れは、さざ波のように音を奏でている。澄んだ空を見上げれば、大空を自由に舞う鳥たちの謡うような鳴き声。どれもが心地よく、俺の耳に優しく届く。まるで、全てのものたちが俺たちを祝福するかのように……。そう。今日は、俺と最愛の女との結婚式。神聖なる晴れ舞台の日だ。 手を伸ばせば…… The Final 11.純白なドレスに身を包んだ最愛にして最高の女を前に、美しさに当てられ言葉...
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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 10.

⋯⋯俺たちがいるってこと、忘れてないよな?⋯⋯つーか、苦しそうだぞ?⋯⋯おいっ、流石にヤバいだろ、死ぬぞ!!「司、いい加減止めろ! 離してやれっ!」牧野に飛びかかり押し倒した司は、俺たちがいるのにも関わらず牧野の唇を強引に奪った。見せられているこっちが胸焼けするほど、ねっとりと、しつこく、濃厚に⋯⋯。息継ぎが追いつかずの牧野は、酸素不足に陥って血が昇り、顔は勿論、耳も首までも赤い。類によって牧野が顔を赤らめ...
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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 9.

「牧野、一人で悩まないで? それに司が原因ってこともあるしね」類が差し向けた笑顔にやられ頬をほんのりと染める牧野と、それを見て爆発寸前、牧野とは別の意味で顔を真っ赤にする猛獣。それを知ってか知らずか、「牧野が一人で抱え込まなくて良いんだよ」更に優しい笑みの追加で、茹でダコ牧野の一丁上がり。「てめぇ、つくしに笑いかけんじゃねぇーっ!」遂に発狂した司を横目に、溜め息を吐き出し心で嘆く。――――何で俺、まだ...
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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 8.

おっ?帰ってきたか?玄関から訊こえてくる、あいつらの声。動きを止めて、廊下の向こうへ一点集中、耳を澄ます。これは――――明るい声、だよな?なら、ようやっと問題解決か?牧野はちゃんと笑ってるのか?胸に期待が立ち昇り、妹よ、一刻も早く兄に安心させる笑顔を見せてくれ! とその時を待った。 手を伸ばせば⋯⋯ The Final 7.「おぅ、遅かったな。司、牧野お帰り! その顔は……大丈夫だよな?」二人がリビングのドアを開ける...
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