Archive: 2018年07月 1/1
『その先へ』御礼
こんにちは!『その先へ』無事、完結を迎えることが出来ました。最後まで読んで下さいました全ての皆様に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました!初めは、一番最初に書くお話が、このような辛いお話で本当に良いのだろうか……。そう悩みながらも、何があっても最後まで書き上げようと決め、このブログを立ち上げました。それから5ヶ月。ずっとこのお話を書き続けてきたわけですが、内容が内容だけに、更新をする際...
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その先へ 58【最終話】
足を運んで下さり、いつもありがとうございます。今回『その先へ』は、最終話となりますが、大変長いお話となっております。貴重な時間を頂戴してしまうことになりますが、最後までお付き合い願えれば幸いです。『神島コーポレーションは、蓮見田カンパニーを買収する方向で取締役を派遣し、経営陣を一新して再建を進める方針である事を──────』テレビのスイッチを切り、アナウンサーの声を遮断する。流れていたのは、今日、世間に...
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その先へ 57
「僕が姉から全てを訊いたのは、司法試験に合格し、修習期間を終えた日でした」二人きりになり、弟はそう切り出した。「お恥ずかしいお話ですが、姉から打ち明けられるまでは全く気付かなくて……。未だに両親は、姉の身に起きたことを知りません。東京を突然離れるって言い出した時も、道明寺さんが記憶をなくされ別れたと聞いていたので、思い出のある東京に居たくはないんだろうと思っていました。引っ越した先で塞ぎ込んでいたの...
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その先へ 56
お話に入る前に……。この度の豪雨による被害に遭われました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。こちらに足を運んで下さっている読者様にも被害はなかったかと案じております。まだまだ大変な時間を過ごされていることと思いますが、皆様がどうかご健康でご無事でありますように……。下げていた頭を戻した牧野さんの弟───進さんは、副社長や美作専務、そして私に、ケースから取り出した名刺を手渡した。「おまえまで弁護士だったと...
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その先へ 55
午後になり、調査部から蓮見田に関しての新たな情報が入ってきた。それを受けても副社長は何も語ろうとはせず、手元のファイルに目を走らせている。以前から用意してあったそれは、蓮見田に関する全ての詳細が書き込まれた調査書で、中島海が訪れる夕方まで、昼食を摂ろうともせず、ただ黙々と読み込んでいた。「副社長、中島さんがお見えになったようです」「応接室に通せ。ここには入れるな」「畏まりました」「西田、おまえも同...
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その先へ 54
着替えのスーツを片手に、ホテルの部屋のベルを鳴らす。副社長が邸には戻らず、この部屋で一晩過ごされたことは、SPから報告済みだった。牧野さんもまた、副社長との話し合いを一時間も満たずに切り上げ、SPの一人が自宅まで送り届けたと報告を受けている。その報告を受けた時点で、副社長にとって思い通りの会話が出来なかった、と容易に察することが出来た。それにより、副社長の様子がどうなっているのかも、手に取るように分か...
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その先へ 53
───とうとう、こんな日が来てしまった。道明寺に待つよう言われたメープルの高層階の一室で、窓からの景色を眺め見る。宝箱をひっくり返したように煌めく都会の街を見下ろしながら浮かぶのは、13年前のあの日だった。道明寺と海ちゃんの、見たくなかった姿を目の当たりにした、13年前。泣いて感情を露にして、勝手なことを吐き捨てて。そして、逃げ出した私は……、私は────────────あの日、悪夢を見た。絶望の中、彷徨い歩く途中に...
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