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Category: 魅惑の唇   1/1

魅惑の唇 1

『Secret』の途中ではありますが、息苦しい展開になって参りましたので、ここで別の話も一つ。こちらも昔のお話で申し訳ないのですが、少しでも気分転換になれば幸いです。7話完結の中編となります。それではどうぞ!司と付き合って8年。司が遠い異国の地で頑張ってくれた4年間があったからか、魔女はあたし達の付き合いに口を挟む事無く、無事、内々だけの婚約も済ませた。ただ、世間への発表はもう暫く時期を見てからと、直ぐに...

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魅惑の唇 2

会社の仲間と合流し打ち合わせが済むと、再び戻って来た部屋の前。取材スタッフの準備が整い次第、司達に声を掛ける為にこの場で待機している。「牧野先輩、向こうはいつでもオッケーだそうです」一緒にいる後輩の無線にGoサインが入り、その旨を知らせる為、目の前の扉をノックし開けた。「失礼いたします。準備が整いましたなら、移動の方宜しくお願い致します」「あぁ、もう大丈夫だ」副社長として振舞う司は、数十分前に雄叫び...

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魅惑の唇 3

「先輩、ご苦労様でした。疲れたでしょうから少し休んだ方が良いですよ?」あれから程なくして、ハラハラさせられたタマ先輩の取材は、何とか無事に終わった。ホテルに関してのインタビューが残ってる司だけを残し、あたしは、先に上がる先輩に付いて一緒に部屋まで来ている。「年寄り扱いするんじゃないよ!」いえいえ、黄色いちゃんちゃんこが似合うお年なんですから。「それよりつくし。まだ仕事は残ってるのかい?」「あとは片...

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魅惑の唇 4

「……ごめん、牧野」えっーと……何が!?これが率直な感想だった。呆けた言葉しか浮かばないのは、頭の回転の悪さだけが理由じゃないと思う。今のこの状況だけは、どうしたって理解に苦しむ。理解出来ないまま啞然としていると、車のドアを乱暴に閉める音が背後から訊こえて振り返った。「つ、司っ!」そこには、眼光鋭くあたしに近付いて来る司の姿があった。「ったく、勝手に飛び出しやがって! 話あるっつっただろーがっ!」「ふん...

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魅惑の唇 5

会話のなくなった暗闇は静か過ぎて、司と二人取り残されても、正直居心地が悪い。織部君がいる前では、口にしてはいけないような気がして聞かなかったけれど、釈然とせず胸がつかえたままで、これをどうすればいいのか分からずにいた。「まだ納得してねぇんだろ?」見透かしたように言う司は、やけに機嫌が良さそうで、顔をニヤつかせあたしを見ている。その余裕綽々な態度も、自分の中にあるモヤモヤも、あたしを苛立たせて行く。...

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魅惑の唇 6

慣れないことはしない方が良い。『今日、泊まってく?』あんならしくないこと言うべきじゃなかった。そう実感した休日。あれから道明寺は、あたしと進が住むマンションに泊まっていくことになった。流石に8年も付き合っていれば、泊まるのが初めてってわけじゃないけれど、私から誘ったのは皆無に等しい。いつもなら、たまたま仕事が早く終わった司が突然現れて、勝手に今日は泊まって行くと言い出したり、進が泊まっていくよう引...

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魅惑の唇 7 【最終話】

────腰が重い。軟禁から明けた翌日、ベッドから半身を起き上がらせるなり感じる鈍痛。隣でまだスヤスヤと眠る司を恨めしく思いながら、体に鞭打ってベッドからゆっくりと這い出る。「ん? もう時間か?」「あ、起こしちゃった?」静かに動いていたつもりが、直ぐに反応した司に腕を掴まれた。「つくし、体辛くねぇか? 無理させたよな? でもよ、久々だったし、お前が可愛いこと言うからよ」気になるなら、こうなる前に気遣え!...

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