Category: Secret 1/6
Secret 1
こちらは、昔のお話のリメイク版となっております。初めましての方も、読まれたことがあります方も、お付き合い頂ければ幸いです。財政会、国内外の有名人達が集う、日本を代表する企業の創立パーティー。様々な分野に手を広げ展開している企業だけに、集まる顔ぶれも多種多様で、日本とは思えないほどの異空間の場となっている。しかし、どこのパーティーに顔を出しても、中身は変わりやしねぇ。相も変わらず、煌びやかな衣装と、...
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Secret 2
愛しい女が隣にいて『おはようのキス』で目が覚める。 そんな甘い新婚生活…………のはずが。 カンカンカンカ~ン! 隣で優しくキスをしてくれるはずの妻は、俺の耳元で中華鍋を叩いて起こそうとする。 ……有り得ねぇ。 「うっせぇんだよ朝っぱらから! もう少し優しく可愛らしく起こせねぇのかよ!」 「そんなんで起きないじゃない」 「お前な、俺達は新婚なんだぞ? 朝は甘~いキスで起こそうとか思わねぇの?」 「うん、...
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Secret 3
「おはようございます、道明寺さん」「おぅ」三条か……。「あからさまに嫌な顔しないで頂けます? 私だって、仕事じゃなければ来たくありませんよ。二人の邪魔して恨まれるよう真似なんて、割に合いませんからね」「ほぅ、邪魔してる自覚はあったんだな」「えぇ、勿論です。そんなに私は鈍感じゃありませんから。それでも、こうして来ないと先輩が捕まって動けなくなっちゃうじゃないですか。仕方なく来ているって訳です」動けなく...
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Secret 4
「お待たせして申し訳ありません。副社長室の方へご案内致します」 化粧室から戻って暫くすると、私達を呼びに応接室に西田さんが現れた。 これから司と対面するというのに、さっきの光景が頭にこびりついて離れない。 司と滋さんが二人でいただけでも驚きなのに、まさか滋さんが泣いているなんて……。どうすればあんな状況になるのか、考えたくはなかったし、出来れば見たくなかった、そう思ってしまう光景だった。 私達は案内...
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Secret 5
いつもなら朝の眩しい日差しと、音量を小さく設定してある目覚まし時計ですぐさま起きるのに、今朝はベッドから出たくなくて、隣で眠る司の温もりを、いつまでも感じていたかった。 あんなに離れていた時間があったのに、今は、こうして当たり前のように傍にいられる。過ぎるほどの幸せだ。 それなのに不安を抱く私は、臆病であり欲張りだ。 遠距離時代は、傍にいられないことに不安を覚え、眠れない夜も幾度となくあった。 そん...
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Secret 6
私の悪戯がバレて数週間。私達は相変わらず、お互い忙しい日々を送っていた。夕飯を一緒に摂るのは難しく、私より帰りの遅い司を待ち侘びるのはいつものことで、司が帰って来てから少しだけ会話を楽しみ、そして、同じベッドに入り共に朝を迎える。朝食だけは必ず二人で摂るのが約束で、いつだって司は旨いと言って食べてくれた。そんなささやかな日常に幸せを感じつつも、妻としてもっとしてあげたいこともあるのに、それが儘なら...
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Secret 7
危機感がないのか、自分達の立場を分かっていないのか。先輩は、この状況すら喜ぶ幸せボケで、何を言っても耳に届いているのかさえ怪しい。昨日発売された週刊誌のスクープで世間を賑わせていると言うのに、無邪気に嬉しがる先輩に、芸能人としてどうなの、それ? とマネージャーとしては、首を傾げたくなる。でも、その気持ちは痛いほど分かる。道明寺さんと離れていた遠距離時代は、本当に耐え忍んでいる状態だった。気丈に振る...
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Secret 8
「つくし久しぶり、元気だった?」「はい、本当に久しぶり。滋さんもお元気でした?」「うん、この通り元気だよ!」何も変わらない滋さんの笑顔。私が過剰に意識しすぎていただけなのかもしれない。玄関でそんなやり取りをしていると、ふと視線を横に向けた滋さんが、スタンドテーブルに置いてある物を指差し、素敵、と呟いた。滋さんが指差したのは、リングピローだ。ワイヤーで作られた、シンデレラに出てくるカボチャの馬車のよ...
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Secret 9
「はい、はーい!」朝早くからの訪問者に、バタバタと玄関に向かって駆け出す。「おはようございます、先輩」扉を開けた先にいるのは、予定より早く来た桜子だ。仕事に行くにはまだ早い。かなり余裕があるし、とりあえず、いつものように中へと入ってもらう。「桜子、今日はこんなに早くなくても良かったんじゃないの?」「えぇ。でも、今日は滋さんの初出勤でしょ? ご挨拶を兼ねて覗きに来てみました」「三条、お前も暇人だな」...
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Secret 10
司の怒り心頭という波乱の幕開けから始まった今日も、全ての仕事をやりこなし、終わりを迎えようとしていた。類のところの撮影を終えたばかりの今は、控え室にて帰り支度をしているところだ。予定より早く撮影が終わったのは幸いだった。あれだけ早く帰って来いと念を押してきた司のこと。遅い帰宅になったりでもしたら、朝の再来とばかりに、恐怖の顔をまた拝む羽目になるかもしれない。もっとも、早く帰宅したところで、花沢物産...
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