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Category: 手を伸ばせば⋯⋯ The Final   1/2

手を伸ばせば⋯⋯ The Final 1.

いつもお付き合い下さいまして、ありがとうございます。今日から『手を伸ばせば⋯⋯』の続々編『手を伸ばせば⋯⋯ The Final』を更新いたします。途中、注意事項を挟まなければならない回もありますので、ご理解いただきました上でお進みになられますよう、お気をつけ下さいませ。一話が無駄に長い回もありますが、三度見届けてもらえたなら嬉しいです。それでは、どうぞ。「お疲れさまです、美作副社長」綺麗な身のこなしで俺の前に...

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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 2.

いつもは慌ただしいであろうこの部屋は、今は恐ろしいくらいに静まりかえっている。司が夫婦仲が拗れた原因としていたものを、あっさりと翻した牧野の発言は、俺たちから声を奪った。誰よりも声が大きく態度まででかい司は、今は鳴りを潜め、心当たりを必死に探しているのか、眉をぐっと寄せた難しい顔で口を閉じている。何を考えているのか読めないポーカーフェイスの妻も、喋りたくもないのか何も発しようとはしない。時間が経つ...

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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 3.

静かに停車した車から降ろされ、両脇をがっちりホールドされ連行された先は、二日前までは、間違いなく司と牧野にとっての愛の巣。そして、今の俺にとっては恐怖の館だった。 手を伸ばせば⋯⋯ The Final 3.玄関前に着くなり内側から開いたドア。牧野が顔を覗かせると、俺を連行してきた男どもは、潮が引くようにササーッと消えていった。⋯⋯素早い。「美作さん、ご愁傷様」玄関の中に俺を招き入れたところでの、牧野の第一声が、こ...

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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 4.

早まるなよ、牧野!話せば分かる、きっと分かるはずだ!届いた試しがないテレパシーを幾ら送ってみても、やはり牧野からは何ら反応もない。焦りだけが加速し、硬直する身体に鞭打って『どうすんだよ、これ』と、助けを求めて画策した張本人に目を向けた。それを受けた総二郎も、流石に不味いと思ったのか、「⋯⋯牧野」重い口を開いた。あとは任せたぞ、総二郎!!何とか切り抜けろよ!  手を伸ばせば⋯⋯ The Final 4.「牧野⋯⋯、た、...

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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 5.

司と牧野に何の進展もなく、寧ろ後退したとも言える中、やっと夕飯となり牧野の手料理をご馳走になる。精神的疲労が蓄積された俺は普段より食欲はなかったものの、素朴な家庭料理の味わいは、心をほんのりと温かくさせ、ささくれ立った気分も少しだけ緩和されるようだった。そんな束の間の休息も、総二郎が話を蒸し返したのをきっかけに、敢えなく終了する。せっかく、お気に入りの肉じゃがをつついていたのに⋯⋯。 手を伸ばせば⋯⋯...

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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 6.

※こちらの回と次話には、不妊に関しての記述がございます。とてもデリケートな問題です。読まれるのがお辛い方もいらっしゃるかもしれません。私自身、過去に悩み通院した経験がある身ですから、ご自身のお心を守るのが第一優先だと考えております。こちらの6話と次話の7話は読み飛ばし、8話から読まれても何となく話は分かるかと思いますので、どうぞご無理をなさりませんよう、ご注意くださいませ。以上をご理解の上で、この先に...

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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 7.

街灯に彩られた煌びやかな街中を、俺たちを乗せた車はスムーズに走る。戸惑うつくしを引き摺るようにして車に押し込めたが、しかしつくしは、繋いだ手を決して離そうとはしなかった。その手を見て改めて思う。────この小さな手があれば、他には何にも要らねぇ、と。 手を伸ばせば⋯⋯ The Final 7.「緊張すんな、大丈夫だから。腕の良いって評判の医者だ」少しだけ汗ばむつくしの掌。緊張が伝わってくるようで、小さな手の甲を、慰...

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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 8.

おっ?帰ってきたか?玄関から訊こえてくる、あいつらの声。動きを止めて、廊下の向こうへ一点集中、耳を澄ます。これは――――明るい声、だよな?なら、ようやっと問題解決か?牧野はちゃんと笑ってるのか?胸に期待が立ち昇り、妹よ、一刻も早く兄に安心させる笑顔を見せてくれ! とその時を待った。 手を伸ばせば⋯⋯ The Final 7.「おぅ、遅かったな。司、牧野お帰り! その顔は……大丈夫だよな?」二人がリビングのドアを開ける...

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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 9.

「牧野、一人で悩まないで? それに司が原因ってこともあるしね」類が差し向けた笑顔にやられ頬をほんのりと染める牧野と、それを見て爆発寸前、牧野とは別の意味で顔を真っ赤にする猛獣。それを知ってか知らずか、「牧野が一人で抱え込まなくて良いんだよ」更に優しい笑みの追加で、茹でダコ牧野の一丁上がり。「てめぇ、つくしに笑いかけんじゃねぇーっ!」遂に発狂した司を横目に、溜め息を吐き出し心で嘆く。――――何で俺、まだ...

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手を伸ばせば⋯⋯ The Final 10.

⋯⋯俺たちがいるってこと、忘れてないよな?⋯⋯つーか、苦しそうだぞ?⋯⋯おいっ、流石にヤバいだろ、死ぬぞ!!「司、いい加減止めろ! 離してやれっ!」牧野に飛びかかり押し倒した司は、俺たちがいるのにも関わらず牧野の唇を強引に奪った。見せられているこっちが胸焼けするほど、ねっとりと、しつこく、濃厚に⋯⋯。息継ぎが追いつかずの牧野は、酸素不足に陥って血が昇り、顔は勿論、耳も首までも赤い。類によって牧野が顔を赤らめ...

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